- 名 称
- 日本デザイン学会奨励賞第3支部
- 目 的
- 表彰制度による学生の研究・制作活動に対する評価
- 対 象
- 日本デザイン学会第3支部会員(教員)在籍の大学院、大学、短期大学において、 特に優秀な研究、制作を行った学生、大学院生
- 人 数
- 学部枠2名・大学院前期課程(修士)枠2名、大学院後期課程(博士)枠2名/各所属機関
受賞者:
(順不同)
椙山女学園大学
- 歴史的建造物を活用するインテリアエレメントの設計
- 青木 千洸(生活科学部 生活環境デザイン学科インテリア・プロダクト分野)
推薦者:滝本 成人 - 歴史的建造物は建物の保存があっても、家具の保存がされていないことの疑問から、旧帝国ホテルの共通ディティールや繰り返しモチーフを引用し、椅子の設計を原寸図で行った。次に未使用空間の仮設フレームと照明の設計、カーペットのデザインを行った。いずれも論理的説明ができるデザインシステムを高く評価した。
- 歴史的名作品からインテリアエレメントへ
- 中野 礼菜(生活科学部 生活環境デザイン学科インテリア・プロダクト分野)
推薦者:滝本 成人 - 設計は2部構成となり、設計(1)では名作椅子「ダンデスカ」のデザインモチーフを引用し、インテリアデザインを1/10で設計した。次に設計(2)ではロココ調「ハーブ」のデザインモチーフを引用し、ハーブを弾く椅子を原寸図で設計した。いずれも基本となる歴史的名作品のディティールを解体し、自らの設計で再構築するデザイン手法を高く評価した。
金城学院大学
- 舞台と和紙でつなぐまち
- 大塚 柚子葉(生活環境学部 環境デザイン学科 空間デザインコース)
推薦者:弓立 順子 - 豊田市小原町に16箇所点在する農村舞台と小原和紙と結びつけ、農村舞台の新たな活用方法を模索した。地元の調査を行い、住民、作家、観光客の交流促進および地域活性化を目指し、アートを軸にまちづくりの一つの指針となる提案を行った作品である。
- 小原和紙の地域ブランドの創出
- 高見 香帆(生活環境学部 環境デザイン学科 空間デザインコース)
推薦者:弓立 順子 - 豊田市小原町の伝統産業である小原和紙に着目し、その価値を可視化し、知名度向上や販路拡大に繋げる「ブランド」として立ち上げ、地域の継続的な発展に寄与する研究である。地元の作家さん達へのヒアリングを行い、ブランドストーリーの構築、ブランド名・ロゴの制作を始め、自信で和紙を漉き照明器具3作を制作した作品である。
愛知産業大学
- 紙芝居『ひかりをよぶもり』を用いた森林・林業理解のための教育ツールのデザイン提案
- 玉置 脩人(造形学部 スマートデザイン学科)
推薦者:森 理恵 - 本研究では、画像生成AIを活用した紙芝居制作を通じ、子どもたちの森林・林業に対する理解を促す教育ツールの可能性を追究した。 検証の結果、AI特有の無機質さを排除し、温かみのある視覚表現を追求したことで、児童の深い没入感と「間伐の必要性」への正しい理解を引き出すことができた。これは、複雑な社会課題を物語化し、最新技術で具現化することの有効性を示している。 今後は、本ツールを教育現場や地域イベントへ広く展開するとともに、AI共創による教材デザインの新たな指針を構築していきたい。
- 都市家具のデザイン研究―生き生きとしたまちづくりを目指して―
- LI SIJING(造形学研究科 デザイン学専攻 プロダクトデザイン領域)
推薦者:森 理恵 - 本研究は、既存の都市構造物を「宿主」と見立て、新たな機能を付加する「寄生家具」という概念を提唱したものである。 生活空間に閉じていた行為を公共空間へと拡張し、場所の潜在的価値を引き出す装置として都市家具を再定義した点に、本研究の独自性がある。実地でのユーザー評価には至らなかったものの、縮尺模型および実寸模型による徹底した検証を通じ、身体的スケールや素材の妥当性を追求した。 このコンセプト具現化のプロセスは、デザイン研究としての客観性を担保するものである。本研究が提示した新たな造形言語が、将来の都市活性化における一助となることを期待する。
- 子供達の自立心を育成するためのSTEAM システムデザイン
- LU YIWEI(造形学研究科 デザイン学専攻 プロダクトデザイン領域)
推薦者:木村 光 - 幼児期における自立心の育成をテーマに、子どもの発達段階と生活行動に関する調査を行った。課題点の洗い出しとデザインアプローチの方向性を検討し、機能性・インタラクション・継続性の観点から自立支援につながる3作品を制作し実証実験を行った。幼児の成長環境を提供できる研究として評価できる。
名古屋学芸大学
- 歌の歌詞表現に基づく色彩のイメージ考察
- 伊藤 瑳帆(メディア造形学部 デザイン学科 プロダクトデザイン領域)
推薦者:黄 ロビン - 本研究は現代日本のポップスにおける色彩語が聴き手の心理に与える影響を、アンケート調査に基づき定量的・定性的に分析した意欲作である。 特筆すべきは、単なる色名の連想に留まらず、歌詞の文脈(動詞や形容詞)が色彩の明度・彩度の選択にどのように作用するかを詳細に検証している点である。例えば「踊る緑」と「育つ緑」のニュアンスの違いや、「劣等感」を伴う青の心理的深度など、言語表現と色彩感情の相関を鮮やかに浮き彫りにしている。 感性デザインや視覚コミュニケーションの領域において、言葉と色が紡ぎ出す多層的なイメージを可視化した本研究の知見は極めて有益であり、今後のデザイン開発や表現活動への寄与が期待できるため、強く推薦する。
- 電気を使わない“うごき”のデザイン
- 坂野 実柚(メディア造形学部 デザイン学科 プロダクトデザイン領域)
推薦者:黄 ロビン - 本研究は、デジタル化・自動化が進む現代において、あえて電気を用いない物理的な「動き」が持つ情緒的価値と、そのプロダクトデザインへの応用可能性を追求した意欲作である。 著者は、風鈴からゼンマイ式玩具に至るまで、古今東西の多様な事例を網羅的に分析し、重力や慣性といった自然の摂理がもたらす動きの質を体系化している。特筆すべきは、単なる機構の解説に留まらず、その動きが人間の触覚や視覚に与える「心地よさ」や「驚き」といった感性的な側面を深く洞察している点である。 物理的な実在感と予測不能な揺らぎが、ユーザーの心理的充足感に繋がることを論理的に導き出した本研究は、持続可能で人間中心のデザインを再考する上で極めて意義深い。今後のプロダクトデザインにおける表現領域を拡張する優れた知見を含んでいるため、強く推薦する。
- テーラードジャケットにおけるゴージラインの高さについて
- 伊藤 憧太(メディア造形研究科 メディア造形専攻)
推薦者:黄 ロビン - 本研究は、テーラードジャケットにおけるゴージラインの高低が、視覚印象およびフォーマル性評価に及ぼす影響を、SD法および統計的手法により実証的に解明したものである。経験的に語られがちな服飾デザイン要素を客観化し、高低差が印象因子や評価に強く関与することを示した点は学術的意義が高い。方法・分析・考察はいずれも妥当であり、デザイン研究の発展に寄与する成果として評価する。(文責:山縣 亮介)
- 抽象表現における直感的行為と表現の探求-視覚化された行為の痕跡について-
- 黒川 紗映(メディア造形研究科 メディア造形専攻)
推薦者:黄 ロビン - 本研究は、身体を介した造形行為から産出される制御不能な事象を「痕跡」と定義し、それらの痕跡を造形要素として昇華させるための技法研究と、作品表現としての有効性について探究したものである。制作プロセスの中で直感的行為を3段階に分類し客観的視点にて分析した点と、作品表現と技法研究がシームレスな繋がりを持つ点が本研究の特徴であり、表現技法構築とテーマ性の両立について示唆に富んだ研究である。(文責:小林克司)
福井工業大学
- 人が滞在する空間としての場の創造-路面デザインによるみちづくり-
- 縫田 陽和(工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:三寺 潤 - 本研究は、路面デザインが歩行者の心理・行動に与える影響を、難易度の高い「公道での社会実験」を通じて実証した、大学院生による極めて意欲的な取り組みです。特筆すべきは、住民参加型ワークショップによる合意形成と、映像解析を用いた定量的な行動変容の観測を両立させている点にあります。規則性のあるデザインが「人優先意識」を醸成し、滞留を促すことを科学的に導き出したプロセスは、デザイン学における空間評価の手法として高い有用性を示しています。 公共空間におけるデザインの社会的機能を、緻密な実地検証によって明らかにした本研究は、修士課程における優れた成果であり、将来的な発展性を含め、本学会の奨励賞に値するものとして推薦いたします。
- 探錯 錯視を用いたゲーム体験の提案
- 村澤 翼(環境情報学部 デザイン学科)
推薦者:近藤 晶 - 錯視によるギミックを織り交ぜたゲームの企画、制作を行い、新しいゲーム体験の模索を行っている。Unityを用いてワークングプロトタイプを構築し、より効果的な錯視の表現方法や快適なゲーム体験のためのユーザインタフェースの検討を行った。これらのプロセスは論理的、計画的に行われており、奨励賞の推薦に十分値するものである。
- アンサンブル! 管楽器合奏の楽しさが体感できる遊び道具のデザイン
- 永野 天青(環境情報学部 デザイン学科)
推薦者:小川 貴史一 - 複数人で行う演奏である「アンサンブル」の楽しさの一つは、他の奏者と身体の同期にあることに着目し、演奏初心者でも体感できる装置とインタラクションシステムをデザインしている。必ずしも音を出すことを必要としない演奏のあり方を提示しており、ユニバーサルデザインやインクルーシブデザインへの新しいデザイン研究に至る萌芽が期待でき評価できる。
名古屋工業大学
- 織物の宿場~高速道路にひらいた「毛七」の拠点~
- 加藤 優貴(工学部 社会工学科 建築・デザイン分野)
推薦者:伊藤 孝紀 - 高速道路にひらいた、尾州の羊毛再生文化「毛七」の拠点を提案した作品である。来場者は生産を体験し、「毛七」の服を纏い全国へと旅立ち、数年後、着古された服はこの地にかえる。「毛七」の再生の輪廻は高速道路を介して全国へ広がっていく、未来へとつながる提案のため推薦する。
以上
