Monthly Archives: March 2024

2023年度「日本デザイン学会奨励賞第3支部」報告

名 称
日本デザイン学会奨励賞第3支部
目 的
表彰制度による学生の研究・制作活動に対する評価
対 象
日本デザイン学会第3支部会員(教員)在籍の大学院、大学、短期大学において、 特に優秀な研究、制作を行った学生、大学院生
人 数
学部枠2名・大学院前期課程(修士)枠2名、大学院後期課程(博士)枠2名/各所属機関

受賞者:

(順不同)

金城学院大学

「花織」新たな花の飾り方
鈴木 亜季 (生活環境学部 環境デザイン学科 空間デザインコース)
推薦者:弓立 順子
フラワーロスに焦点をあて、廃棄花を利用したインテリア製品の開発を行った。花びらや茎などで作ることができるかの実験に始まり、新たな花の楽しみ方としてアートパネル5作品を制作した。更に制作した素材を使用したワークショップを開催し、フラワーロス課題の認知向上を試みた。作品の完成度のみならず、誰でも簡単にアート作品を作ることができる仕組みを模索した点が優れており、ここに推薦いたします。

椙山女学園大学

色弱者でも楽しめる食器と食材の組み合わせの研究
澤田 千穂 (生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:滝本成人
色覚ゴーグルを使用し、食材は和・洋・中・韓を実験した。次に食器は伝統的な食器で実験した。この結果、青い食器に黄色い食材を伸せることが、最も影響が少ないことを明らかにした。まとめでは、染付や金継など伝統技法を論じた。興味深い研究であった
micro -表面に機能があるものの理解を深める-
伊田 裕里菜 (生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:山下健
マジックテープやヨーグルトの蓋など表面に微細な加工を施すことで機能を持つものを、顕微鏡やマイクロスコープ等を用いて形状の特徴を調査し、特徴がわかる大きさに拡大して、さまざまな模型を制作した。鑑賞者が実際に体験することで、日常では意識しない技術に対する気付きを与えたことを評価した。

愛知産業大学

BE THE 1 〜あなたの運命の一着に〜アパレル業界における廃棄ロス問題の研究と提案
安井 陽香 (造形学部 スマートデザイン学科)
推薦者:森理恵
アパレル業界における問題点の解決に向けた本研究は、多くの人が愛着を持って長く着続けられる服を提供したいという思いから提案された。洋服のパーツ(身ごろ、襟、袖、ボタンなど)を店頭に陳列し、自分だけの洋服をデザインすることができる。オーダーメイドスーツとは違い、普段着を手軽に購入できる仕組みの提案である。古くなった服はパーツを替えて魅力あるものへ蘇らせる。愛着を持って長く使い続ける循環型ものづくりの提案である。社会課題に真摯な姿勢で取り組み、ブランディングからロゴマーク、商品デザインまでトータルで提案している点が評価できる。
人々の環境保護意識を促すコンテンツの提案(研究・開発)
森川 円麗(造形学部 スマートデザイン学科)
推薦者:廣瀬伸行
豊かな環境にいると実感し難い環境問題の啓発を目的とし、ユーザーと動物がチャット形式(対話内容に応じて変化する動物のイラスト付き)の分岐するストーリー体験の中で、徐々にユーザーの身近な行動と環境問題との関係について気づきを与える対話コンテンツを提案した。ユーザーに環境問題への危機感や喪失感を与えるために絶滅危惧種ホッキョクグマに焦点し、ユーザーとシロクマ間の数日間の対話で進行する分岐的なストーリー展開の中で最終的には環境問題に起因した動物の死という展開を作成した。制作だけにとどまらず、ユーザーに与えた環境問題意識を検証するためにユーザーの評価を定量的、定性的に分析し、ストーリー展開の問題点や改善点を明らかにしようと試みた点が評価できる。

福井工業大学

原子力防災ピクトグラム及び意識啓発グッズの提案
酒井 梨世 (環境情報学部 デザイン学科 メディアデザインコース)
推薦者:川島洋一
原子力防災のための公式ピクトグラムはこれまで存在しなかった。本作品は、学外より本学へ依頼されたピクトグラムを学生本人が制作した成果と、それを利用して原子力防災を促すボードゲームを制作している。このピクトグラムは、内閣府によって利用されることが検討されており、社会的意義が認められる。
着せ替え道路
縫田 陽和 (環境情報学部 デザイン学科)
推薦者:川島洋一
本作品では、人に優しい道路を取り戻すため、地域独自の色と模様が配置された新しい仕組みのボンエルフを提案した。研究対象とする実際の道路で歩行者へのアンケート調査を行うなど、制作だけでなく必要な調査も行った。
足羽川AQUAテラスにおける河川空間のオープン化による効果と課題
饗庭 大喜 (工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:川島洋一
福井市の足羽川における河川空間の利用実態や占用主体の事業スキーム・取り組みを分析し、その親水機能や課題を整理した。院生本人は、在学中に積極的に足羽川周辺の活性化活動に関与し、実践を通して得た知見と、学術的な調査・分析結果を合わせた優れた研究である。
小中学生を対象とした広報印刷物の提案とその評価 ~自治体により配布される広報印刷物の制作を通して~
葛西 朱里 (工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:川島洋一
本研究は、自治体が発行する印刷物の効果について実践的に調査を行うものであり、デザイン制作を主とする取り組みである。実行可能な研究計画の立案、アンケート等を用いた正しい計画の実行、論理的に正しい結論の導出など、奨励賞にふさわしいと認められるため推薦する。

名古屋学芸大学

チューニング・デザイン
川上 真里奈 (メディア造形学部 デザイン学科 プロダクトデザイン領域)
推薦者:黄ロビン
前期の研究では、影山氏一連の「余白デザイン」研究に基づき、「余白と曖昧の関係」を中心に事例研究・考察し、「デザインの余白の削減」の是非を論述。彼女の結論は「グラデーションで変化していく中から心地よいポイントを探る行為」を「ファインチューニング(微調整)」と定義。 その後、この独自のデザイン論から展開し、5点のファインチューニングデザインを提案。
書く・描く行為の考察
江頭 美保 (メディア造形学部 デザイン学科 プロダクトデザイン領域)
推薦者:黄ロビン
本研究の前半は、書く・描く行為についてアンケート調査をし、この行為の動機・感覚などを解析。 この研究の結果によって、従来の文具と違う視点から、ワクワクして書き・描きたくなる新たな文房具を提案。文具を再定義した研究である。
天然染めの経年美化を活かした テキスタイルデザインに関する研究
花井 菜月 (メディア造形研究科)
推薦者:黄ロビン
天然染料の耐光堅ろう性の低さに着目し、色相の経時変化の違う染料を重ね染めして色相が経時変化することを利用したテキスタイルデザインに関する研究である。一部のデニムやレザーにみられる経年変化を楽しむ志向とは一線を画すこの着想は高く評価できる。 さらに、色相変化を科学的に検証し、無限に考えられる色相の変化を予測して設計することを試みている。 新規性の高い研究内容であり、今後の展開も期待できる。 これらの成果をもとに制作した衣裳作品は、従来よくみられる自然志向とは異なり人工的な色彩と造形である点も新鮮である。(文責:島上祐樹)

名古屋工業大学

#工場萌え体験記
森下あゆ(工学部 社会工学科 建築・デザイン分野)
推薦者:伊藤孝紀
郷里である四日市市のコンビナート景観を観ることが、”萌える”ことだという。異なる視点から捉えると悪景観に思えるコンビナートを、その魅力を引き立てるように敷地を読み解き、空間デザインに落とし込んでいる。実直かつ観察眼に富んだ発想力と空間構成を評価して推薦するものである。

以上