- 名 称
- 日本デザイン学会奨励賞第3支部
- 目 的
- 表彰制度による学生の研究・制作活動に対する評価
- 対 象
- 日本デザイン学会第3支部会員(教員)在籍の大学院、大学、短期大学において、 特に優秀な研究、制作を行った学生、大学院生
- 人 数
- 学部枠2名・大学院前期課程(修士)枠2名、大学院後期課程(博士)枠2名/各所属機関
受賞者:
(順不同)
椙山女学園大学
- 心理評価と体圧分布を用いた車椅子クッションの座り心地予測に関する研究
- 大羽美宇(生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:滝本成人 - クッション材の素材の違いからおこる、体圧分布と心理評価の関係を、重回帰分析を用いて定量的に分析し指標化を行った。学術的価値を評価し推薦した。
- 車椅子マップ 観光地におけるマップ制作
- 家崎紗依、小川紗英、渡辺実涼(生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:滝本成人 - 自走式車椅子と介助式車椅子の走行の違いを、実走実験を行いマップに表現した。また携帯性を考え、ミウラ折り・招待状折り・蛇折り・90度折り・180度折りなどを取り入れ、楽しめるマップを制作した。作品としての完成度の高さを評価し推薦した。
金城学院大学
- into one ~一人暮らしの女性のための家具~
- 眞金 遙(生活環境学部 環境デザイン学科 空間デザインコース)
推薦者:弓立 順子 - 20代一人暮らしの女性をターゲットとし、その暮らしを調査した上で、女性特有の持ち物などを効率的に収納できる家具を設計・制作した。単なるアイデアだけにとどまらず実際の制作過程に於いて使用される材質をはじめ、金物や照明、ガラスなど詳細設計まで取り組むことができた。
名古屋学芸大学
- 名古屋城外堀交流
- 道前知佳(メディア造形学部 デザイン学科 空間デザインコース)
推薦者:中西正明 - ニューヨークハイラインの地下版。かつて名鉄電車が走っていた名古屋城外堀の底をインバウンド交流の場とし、無機的な名古屋の街並みに例外的な風情のある清水橋の再開発を中心とした点が評価できる
- リラックスできる棚
- 山本悠真(メディア造形学部 デザイン学科 空間デザインコース)
推薦者:中西正明 - 仕切りの移動で変化できる棚の下から椅子が出てくるという柔軟な発想と、スケジュールを遵守して制作した姿勢が評価できる。
- 自動運転がもたらす、バイクの新たな楽しみ
- 神谷啓士郎(メディア造形研究科)
推薦者:黄ロビン - 本論ではモーターサイクルにおける技術の側面(自動運転)と感性の側面(楽しみ)などの基礎的考察に基づき、現在ライフスタイルのアウトドアブームに着目して、自動運転技術を使用する新たなバイクの楽しみ方を提案する研究であった。
- 撮影者のまなざし〜写真撮影の動機となった対象の研究
- 樋口誠也(メディア造形研究科)
推薦者:黄ロビン - 写真を撮るという行為について、自身が見たい画像(イメージ)へと変換する欲求が根源にあることが語られ、それにも関わらず、その欲求が絵画や写真における「フレーム」としてのヴィジュアリティ(視覚性)に規定されていることを明らかにしていく。その論点自体は、決して目新しいものではないが、自身の写真実践として語られることにより、動機と知覚、認知と記憶などの複雑な関係性を問うものとなっている。研究と作品実践がユニークに結実したものとして高く評価する。
愛知産業大学
- 3DCGによるカートゥーンテイストを持ったアニメーション制作の研究
- 小野広喬(造形学部 デザイン学科 ディジタルデザイン)
推薦者:佐々木尚孝 - フル3DCGアニメーションを戯画的表現と3次元表現との中間表現で制作し登場するキャラクタの動作やその表現技法において優れており、今後の活躍が期待できる。
名古屋工業大学
- 動画編集による紙芝居の魅力の変化に関する研究
- 山口洸貴(社会工学専攻 建築・デザイン分野)
推薦者:須藤正時 - 2012年にパリ・ユネスコ本部にて「紙芝居文化の会」と「小さな図書館」によって「ヨーロッパ紙芝居会議」が共催された。また同年北米では紙芝居の研究でPh.D.が取得されるなど日本発祥の文化である紙芝居が世界に広がりつつある。 本研究はこのような背景の元に紙芝居を更に魅力的なものとするために5つの紙芝居評価サンプル(ストーリーは同一)を用意し感性評価することで若者が魅力を感じる新しい紙芝居表現に関する研究を行った。 その結果、無編集動画より紙芝居にアニメーション合成することで魅力やわかりやすさを増加することを明らかにした。 動画紙芝居という新しいジャンルの開拓に繋がる可能性を見出した。
- オフィス用低座家具の提案
- 豊福拓歩(工学部 社会工学科 建築・デザイン分野)
推薦者:須藤正時 - 近年、ワーカー自身が多様化した仕事内容に応じて環境を選ぶことができる働き方として「アクティビティ・ベースド・ワーキング」(ABW)という考えが登場し、多様な空間において様々な姿勢をとる機会が増えた。そのようななか、スツールは全方向から座ることができるため、ミーティングスペースなどに用いられる場合がある。しかし、スツールには背もたれや腰当てがなく上半身が固定されないため、安定して座ることができない。本作品は、スツールと同様に全方向から座ることができるが、一部が変形して腰当てとして機能する椅子である。また、ビーズクッションと異なり、立ち上がった際に元の形へ復元する特徴もある。さらに、これらの機能を実現するための意匠がユニークである。以上より、本作品は機能と意匠について新規性が高いため推薦した。
名古屋市立大学
- UXデザイン手法を用いた「撮影」の体験価値の分析及び研究
- 山木美穂(芸術工学部 産業イノベーションデザイン学科)
推薦者:影山友章 - ECサイトやSNS等によるオンラインショッピング市場は、年々拡 大し続けている。また、デジタルファブリケーションの普及により、個人でモノを作ることのハードルが下がってきて いる。これらの背景から、個人作家が自身の作品をネット上で販売する、新しい「クリエイティブ産業」が確立されてきており、山木さん は、この要域における新しいソリューションを生み出した。“個人作家が自宅の一室で作品撮影を行う際、カメラを覗いた状態では光源設 定ができない”という問題点を、UXデザインの手法により導きだした。そして、それらの問題点を解決するプロダクト、「カメラを覗き ながら、遠隔操作で光源調整ができる照明」を生み出した。これらの一連のプロセスが明瞭であり、推薦に値する。
- 快適で安全な入浴のためのデザイン研究
- 川島芽衣(芸術工学部 産業イノベーションデザイン学科)
推薦者:加藤大香士 - 日本では、入浴中の熱中症状による浴槽内死亡事例が多い。特に高齢者の入浴事故は日本特有の社会問題となっている。本研究では、日本特有の文化である入浴習慣を快適・安全に続けられるために必要な入浴中モニタリングシステムがデザインされた。心理学やIoT 技術を活用した次世代型の浴室環境を構築するために、安全な湯温にコントロールされた湯舟において温感を意図的に操作する工夫や、耳体温(深部体温)のモニタリングをしながら出浴を促すしくみを新たに提案した。ユーザの日々の体調変化にまで対応しようとするデザイン提案を高く評価する。
- 機械学習を用いた看護を必要とする環境における ベッド上動作の認識の試み
- 茅野洋平(芸術工学研究科 産業イノベーションデザイン専攻)
推薦者:加藤大香士 - 臨床、介護の現場においてベッドからの転倒などによる治療中の合併症の防⽌や療養環境における安全性の確保は常に課題とされる。超⾼齢化により看護・介護領域での従事者の負担の増加する現在、患者と医療従事者、双⽅の様々な課題解決が求められる医療現場で、IOT やAI を活⽤した健康、医療、介護のパラダイムシフトが求められている。救急看護師でもある茅野さんは、ディープラーニングを⽤いた動作認識技術であるHuman Activity Recognition(HAR)に着目した。看護や介護を必要とする状況において、動作認識技術は、せん妄や病識の低下によるベッドからの転落、点滴やチューブ類の計画外抜去など、医療において⻑年課題となっている問題に対する解決への⽷⼝となる可能性があり、最先端技術を用いたデザイン分野における展開と㍊ても注目に値するものである。
福井工業大学
- マナビ TO GO -学びの環境を変える学習支援システムの提案-
- 吉村研人(環境情報学部 デザイン学科 環境・プロダクトデザインコース)
推薦者:池田岳史 - 本作品は,主に大学内での使用を想定した収納,作業テーブルの機能を持つ学習支援ワゴンである。収納,移動,グループワークなど,大学生活においての問題点を抽出し,現実的な手法で解決を提案している。
- 地域資源の映像化における「物語」を介在させた表現手法の研究
- 高橋紀子(工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:池田岳史 - 福井県の地域資源を再認識・再発見し,映像により発信することを目的とした研究である。地域をテーマとした国内作品,作家に関する調査,ケーススタディーとしての短編映画制作を通じて得た知見を活かした作品である「Missing」も制作している。
- 地域資源の再生を目指す活動の記録 -限界集落A43の事例-
- 松原かおり(工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:池田岳史 - 福井市美山地区の限界集落において2年間に渡って取材した,「芦炭窯」や「ベジタボーファーム」といった活動の記録を行うとともに,地域資源の再生に向けた広報材料としての映像作品制作に取り組み,表現手法の検討を加えた上で,最終的に「限界集落A43のプロモーション映像」の制作を行っている。
以上