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2021年度「日本デザイン学会奨励賞第3支部」報告

名 称
日本デザイン学会奨励賞第3支部
目 的
表彰制度による学生の研究・制作活動に対する評価
対 象
日本デザイン学会第3支部会員(教員)在籍の大学院、大学、短期大学において、 特に優秀な研究、制作を行った学生、大学院生
人 数
学部枠2名・大学院前期課程(修士)枠2名、大学院後期課程(博士)枠2名/各所属機関

受賞者:

(順不同)

愛知淑徳大学

発話位置・発話テキストを視覚化するコンテンツの開発
橋本 侑芽 (人間情報学部 人間情報学科 情報デザイン・システム専修)
推薦者:須藤 信
当該学生の研究では,発話位置・発話テキストを視覚化するために音源位置を推定するためのプログラムを独自開発し,静穏な空間における発話のリアルタイムマッピング(視覚化)に成功している。当該研究は,例えば演劇において俳優が発話した音声を空間上に視覚化するなどの応用が考えられる。デザイン学の発展に寄与する研究であると考えるため推薦させていただく。

金城学院大学

「Re:」~段ボールを使ったデスクセット~
伊藤 瑠美 (生活環境学部 環境デザイン学科 空間コース)
推薦者:弓立 順子
段ボールを使用した家具の作品は数多くみられるが、本研究では、段ボールのフルート方向を変えて貼り合わせた強度実験を行い、方向を変えて重ねたものは同じ方向に重ねたものの7.8倍の強度がある事が明らかになった。紙管と組み合わせることで、工具なしで組み立てできるインスタントなデスクセットを制作した。ダンボール家具の未来を示唆する研究となった。

椙山女学園大学

色覚障がい者とファッションに関する研究
三田 奈由 (生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:滝本 成人
地道な実験と分析を評価した。また、3年次での支部研究発表会での発表も評価した。
色弱者の空間イメージに対する壁紙のあり方
河辺 春佳 (生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:滝本 成人
地道な実験と分析を評価した。また、3年次での支部研究発表会での発表も評価した。

名古屋学芸大学

デジタル画像における操作−写真におけるイメージングプロセスの探究−
安斎 萌実 (メディア造形研究科)
推薦者:伏木 啓
安齋萌実さんは、大学院において、印画紙の感光方法によって様々な像を浮かび上がらせる手法や、フィルムスキャン/インクジェットプリント等、アナログ/デジタル問わず写真を生成するプロセスに介入するエラーを積極的に作品に用いる手法の実験を試みました。修了制作では、都市政策によって排除されたホームレスがかつて滞在していた場所を撮影し、風景の一部が抽象化される作品によって、都市政策の暴力性を可視化することを試みました。研究に真摯に取り組み、修了制作に結実させることのできた学生として、推薦致します。
ファッションビルの広告と、そこから発信されるメッセージとの関係性
小川 ひかる (メディア造形研究科)
推薦者:梶田 渉
1970年〜2020年までの、50年間に渡る「ファッションビルの広告」を「基本年表」「女性年表」 「ファッション関係年表」の時代や社会の動きと照合しながら、ひとつの表にまとめあげた成果と、各時代を代表する広告をビジュアル面とコピー面の両方から「広告のメッセージ」を探究し、そこから考察した分析結果は的を得ており、高く評価できる。また一方で、現在のファッションビルの様々な課題を抽出し、その課題解決を考えたブランディング企画と、その新ファッションビルの広告を具現化した修了制作のデザイン提案は、説得力があり、評価に値する。
「Re:Arrange Shelf」ライフスタイルの変化に対応システム家具
大澤 学人 (メディア造形学部 デザイン学科 プロダクトデザイン領域)
推薦者:黄 ロビン
人生の段階によるライフスタイルの変化に順応するシステム家具を提案。前半の卒業研究「ライフスタイルの変化に対応するモジュール化されたインテリア」では各年齢層計134名のアンケート回答に基づき、国内海外8メーカーの製品を徹底的に比較・分析。後半の卒業制作も試作品を実際に各段階ライフスタイルの被験者(子供や高齢者)にユーザビリティ検証をして修正。組み合わせるための特殊な金具の設計も高く評価したい。
「QOOK」一人暮らしの自炊を楽しく、片付けの楽さを追求したキッチンウェアセット
村上 遥香 (メディア造形学部 デザイン学科 プロダクトデザイン領域)
推薦者:黄 ロビン
前半の卒業研究「一人暮らし用キッチンウェアのデザインと需要性」では綿密な調査を行い、一人暮らし生活空間の実測分析や自炊者のアンケート調査、市販商品の寸法測定と分類など、膨大な情報を整理・分析した。後半の卒業制作でもSTPを立案してから展開し、狙うターゲットに従って論理的にデザインを展開・制作。十数点の調理アイテムを精密に制作し、ロゴからパッケージまでトータルデザインを提案。

名古屋工業大学

Ice Show Window
児玉 咲世 (工学部 社会工学科 建築・デザイン分野)
推薦者:伊藤 孝紀
中区大須にある屋内型アイススケートリンクのリノベーションである。自身もアイスホッケーの選手として長年使ってきた、思い出が詰まった場所を、国際大会が開催できるよう再編成したデザインである。世界から観ても、名古屋圏のスケートは知名度も高く、発信力もあることから、この地域のシンボルとしても相応しい空間デザインの提案であったため推薦する。
新堤改築
正村 優衣 (工学部 社会工学科 建築・デザイン分野)
推薦者:伊藤 孝紀
郷里である岐阜の特徴ある堤防で囲まれた敷地を対象に、地域の課題を解決するための建築として昇華した秀作である。土木スケールである堤防と地域の人々のアクティビティを包括するように、建築デザインにまとめた点を評価した。堤防を貫通する空間配置は、周辺の街との関係を顕在化した軸を示し、ランドスケープと調和した建築デザインの提案であったため推薦する。

福井工業大学

Relations of Techniques and Mental States in Ceramics Making: Participants’ Mood Change Caused by Ceramic Art Workshops
Pornpan Sutas (工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:池田 岳史
本研究は、陶芸ワークショップによる成果物の造形的特性に着目し効果を検証することで、適切な技法選択を行いより心的状態の改善効果が得られるワークショップデザインが可能であること示した。また、専門的な陶芸技法をワークショップに取り入れることで成果物のクオリティを向上させ展示会の開催へ至った。成果物の価値に着目しない作業療法やセラピーとは異なり、心的改善を得ながらお互いの制作物を鑑賞する新しいアートアクティビティとしての展開を本研究は示した。
食卓の機能を補完するキッチンワゴンの制作
花本 響 (工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:池田 岳史
本研究は、一般家庭において、食事中に必要な調味料や食器類をあらかじめ準備したり、豪華な食事を用意した際に食卓の面積を補う目的で、専用ワゴンを提案するものである。主たる成果物はプロダクトデザイン作品としてのワゴンであり、金属加工による原寸大で制作された。作品の新規性のみならず、ワゴンの必要性を調査した論文部分の説得力も評価できる。
loose Shadow 〜影は遅れてやってくる〜
桐山 玲奈 (環境情報学部 デザイン学科 都市デザインコース)
推薦者:池田 岳史
「ある時,自己の分身である影が遅れだしたら…共にあるべき影の変化に驚きや戸惑いを隠せないだろう。」そんな実生活における気づきから生まれた,影と戯れる非日常的インタラクティブアート作品である。実験,検証を踏まえた遅延時間,空間としての認識を高める多面構成といった積み重ねの上に,偶然ではない計算され成立した空間が作り出されている。今後,作品制作を通じた動作に対する遅延に関する研究成果をインターフェースデザインに展開する可能性についても期待できる。
育てる“椅子” 使い続けて知る、愛着の特等席
中山 比奈子 (環境情報学部 デザイン学科 都市デザインコース)
推薦者:池田 岳史
愛着を持ち長く使い続ける心を大切にするモノづくりを願い、塗料の経年変化を椅子制作に取り入れた卒業研究である。作っては廃棄する大量生産時代に警鐘を鳴らし、かつてのモノを大切に使う日本文化を取り戻したいとの願いを込めた意欲作として強く推薦する。 

名古屋市立大学

ポスト・スマート時代の製品デザインとその有効性の検証
山木 美穂 (芸術工学研究科 産業イノベーションデザイン領域)
推薦者:影山 友章
「丁寧な暮らし」や「ソロキャンプ」などの流行を大局的に捉え、過度な効率追求の反動であると捉えたことは鋭い考察であった。また、不便益のアプローチから「在宅ワークの問題点を解決するプロダクト」を生み出すという前例のないテーマに挑戦し、 様々な方面から「欲しい」と言われるようなプロダクトを生み出したことは、評価に値する。
人体解剖学と生理学から見た呼吸の研究
井倉 芳弥 (芸術工学部 産業イノベーションデザイン学科)
推薦者:加藤 大香士
口呼吸は様々な病気のリスクとなり得るが、現代人に無自覚な人は多い。その根本原因は生活習慣にあると考え、人体解剖学、生理学から研究した。そしてユーザが口呼吸を自覚しつつ健康的な呼吸へと導かれるように姿勢を矯正するための器具を考案した。一連の調査と論理的考察、制作過程を高く評価し、さらなるデザイン研究を期待する。
触知能と手指の器用さに関する研究
松田 理沙 (芸術工学部 産業イノベーションデザイン学科)
推薦者:加藤 大香士
指先の力や触感覚の発達の研究結果をもとに、指の力や触感覚刺激が手指の器用さに寄与するかどうかに着目し、手指へのマッサージ刺激の有無と線引き課題、糸結び課題とを連動させて実験的に検証確認した。その結果、手指の巧緻性が刺激により向上することが有意差をもって確認された。着想と研究プロセスを高く評価し、さらなるデザイン研究を期待する。

以上