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平成29年度「日本デザイン学会奨励賞第3支部」報告

名 称
日本デザイン学会奨励賞第3支部
目 的
表彰制度による学生の研究・制作活動に対する評価
対 象
日本デザイン学会第3支部会員(教員)在籍の大学院、大学、短期大学において、 特に優秀な研究、制作を行った学生、大学院生
人 数
学部枠2名・大学院前期課程(修士)枠2名、大学院後期課程(博士)枠2名/各所属機関

受賞者:

(推薦書提出順)

福井工業大学

沿岸地域における避難誘導に関する研究 -福井県高浜町和田地区をケーススタディとして-
藤田和秀(工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:池田岳史
本論文は,2016年に日本初(アジア初)のBLUE FLAGを取得した若狭和田ビーチを有する福井県高浜町和田地区を対象とした調査と,シミュレーションを基に,災害時の安全かつ円滑な避難計画の提案を行っている。
いつ,どこでででも起こり得る災害時の避難誘導をテーマに,シミュレーションのみに頼らず,詳細な現地調査を組み合わせた研究成果は現実に即している。また,避難計画の提案においても,データに基づく提案にとどまらず,当該地区の街並み,空間性にといったデザイン面に関する検討も行っている点も高く評価した。
継手仕口の技を取り入れた新しいジョイントのデザイン
田中隆司郎(工学研究科 社会システム学専攻 デザイン学コース)
推薦者:池田岳史
本論文は、伝統的な継手仕口の研究から独自のジョイントを開発し、新しい造形において活用することができている。ジョイント部分をポイントとして「魅せる」新たな造形のあり方を示すことができており,今後のプロダクトデザインへの展開が期待される。強度等構造についての評価は行われなかったが、デザインにあたり繰り返し試作を行っており粘り強い努力が感じられ,精度を高めるための独自のノウハウから,最終形態を導き出している。実寸モデルの制作についても高く評価した。

金城学院大学

共生のかたち~篠島グランピング計画~
外山香帆(生活環境学部 環境デザイン学科 住宅・都市環境コース)
推薦者:弓立 順子
人口減少と少子高齢化が進行し、主な産業である漁業の担い手の減少などの問題に直面している愛知県篠島に対し、観光客と島の住民、新しい施設と土地や自然とを「ふたつの要素の共生」「つなぐデザイン」を促す場としてグランピング施設を提案した。かつてゴルフ場であった敷地を、自然との接点を鮮明にし、五感を研ぎ澄ませて自然を感じる空間に蘇らせた。

愛知産業大学

紙による立体制作の研究
店橋良仁(造形学部 デザイン学科)
推薦者:佐々木尚孝
魚の形状を実際の観察に基づいて特徴を抽出して平面形状に分解し、手作りできる立体とした。子どもの工作だけでなく、水族館等での実物との親しみや自然保護意識の醸成に貢献できる。
イラストレーションによる社会問題の視覚化
小田亜未(造形学部 デザイン学科)
推薦者:佐々木尚孝
現在の社会的問題をカルタという表現形式に単純化し、誰でも楽しみながら問題の本質を言葉と絵で把握することができる。ゲームという形式を採用しており、能動的な学習理解をさせる仕組みを持っている。

北陸先端科学技術大学院大学

イノベーション創出のための連動型コミュニティデザイン研究
中田泰子(先端科学技術研究科 知識科学系 博士後期課程)
推薦者:永井由佳里・前川正実
中田泰子氏は、URAとして産学官連携の業務に携わりながら、デザイン思考や知識創造モデルの理論的研究とイノベーションデザインの方法論を適応し、コミュニィ間の相互作用を高めるアクションリサーチに取り組んだ。2件の国際会議を通し、北陸発の産学官連携マッチングイベント Matching HUB を金沢、小樽、熊本と連動的に実践可能な創出事例を示すことに成功した。2件の国際会議で研究発表し、コミュニティデザインの手法を普及する優れた研究であると認められる。
感性情報に基づく景観デザインの主観評価法の提案
由田 徹(知識科学研究科 博士後期課程)
推薦者:永井由佳里・前川正実
由田徹氏は、自身の建築家としての長年の経験を基盤に、地域の生活環境としてのまちづくりや古民家再生による文化再生に取り組みながら、従来の建築評価を超える、建築物と景観を一体化した評価法の構築に取り組んだ。感性評価の先行研究を調査し、主観尺度法を用いた新しい感性評価手法を提案し、その有効性を示した。国際会議に採択され、世界各国の研究者と議論を重ね、文化環境を重視した景観づくりの推進に貢献している。
気づきを誘発するグループワーク活動支援システムのデザイン
清野聖人(先端科学技術研究科 ヒューマンライフデザイン 修士)
推薦者:永井由佳里・前川正実
分散環境でのグループワークによるアイデアを創出することで、デザインの上流工程を活性化する創造性支援システムの開発・実装を行った。メンバー間のフィードバックにより気づきが誘発され、創造的なコミュニケーションが先行研究より長時間にわたり維持されることを示し、インタフェイスデザインの効果を発揮した。
Impact of ECS Design Features on the Performance of SMEs
Chiang Hua Ko(先端科学技術研究科 ヒューマンライフデザイン Master)
推薦者:永井由佳里・前川正実
ビジネスのコミュニケーションにおいてタイムマネジメントの効率化を通じて総合的に高いパフォーマンスを発現させるメディアデザインの提案を行った。実際に開発したシステムを、従来普及している技術と比較する調査を行い、どのような特徴がビジネスコミュニケーションの諸問題の改善に有効かを明らかにし、よりよいシステムを探索した。今後、改良を経て普及することが見込まれる。

椙山女学園大学

片手でコンタクトレンズ
阿部有里(生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:滝本成人
脳卒中片麻痺障がい者を対象とした自助具の研究で、片手でコンタクトレンズを装着する装置に取り組んだ。試作制作と被験者実験を繰り返し、まぶたを押し上げる仕組みと、眼球を確認する仕組みを考案した。外部発表として、第20回国際福祉健康産業展ウェルフェア2017、第6回介護の日フェア介護福祉機器展、自助具フォーラム2017、日本デザイン学会第3支部研究発表会で研究発表と作品展示を行った。1年間の取り組みを高く評価した。
片手でミニドレッサー
梅原愛美(生活科学部 生活環境デザイン学科)
推薦者:滝本成人
脳卒中片麻痺障がい者を対象とした自助具の研究で、片手で化粧品の固定とキャップが取り外しできる装置に取り組んだ。道具としてではなくインテリアに溶け込むデザインを考案した。外部発表として、第20回国際福祉健康産業展ウェルフェア2017、第6回介護の日フェア介護福祉機器展、自助具フォーラム2017、日本デザイン学会第3支部研究発表会で研究発表と作品展示を行った。1年間の取り組みを高く評価した。

名古屋学芸大学

名古屋伝統工芸染色を用いた服飾表現
佐橋菜月( メディア造形研究科 メディア造形専攻)
推薦者:黄ロビン
名古屋友禅と有松・鳴海絞りを用いた作品制作のために、詳細なヒヤリングを行い技術や方法を整理し、文献からも確認することができない道具の名称や形状を後世に伝える知としてまとめる研究論文には意義があり、日本の伝統工芸やきものに対する愛情が強く感じられる。
作品においては、熱可塑性素材ではない天然繊維による立体形成とその形状保持に挑戦してテキスタイルおよびアパレル作品を制作した。前例となるサンプルが皆無に等しい状況下での制作であり、オリジナリティの高さが評価に値する。
(文責:内田和邦)
服装造形におけるラッフルに関する研究
錦見淳子(メディア造形研究科 メディア造形専攻)
推薦者:黄ロビン
通常ドレーピングで仕上がり形状を確認する服飾の装飾であるラッフルを、使用素材の特質、原料、織り組織、厚さ、地の目など細かく実験データを取集し、一定の結果を導いている。この実験データを基に男女のデザインを制作している。
主要素材も通常副資材であるものを使用し、制作者のメッセージがある作品に仕上がっている。
(文責:炭釜啓人)
LINEAR-触覚UIのIoTヘッドフォンの研究と提案
弟子丸哲也(メディア造形学部 デザイン学科 スペースプロダクトデザイン)
推薦者:黄ロビン
IoTの時代における触覚制御の新型ヘッドフォンの提案である。タッチパネルを用いた制御システムは特徴的で、視覚障がい者も健全者も使用可能な提案だ。外観形態と機能性とのバランスがうまく、美しいデザインが出来た。
周到な調査に基づき構想を展開し、綿密な設計過程を経て、完成度の高いデザイン。特に試作・検討・修正諸作業の積み重ねを高く評価したい。
(文責:黄ロビン)
22歳のなかみ (卒業制作)
小澤ことは(メディア造形学部 デザイン学科 スペースプロダクトデザイン)
推薦者:黄ロビン
この作品は、四年制大学を卒業して社会に出る直前の学生を中心に、22歳の色々な人の考え方や価値観とその背景である人生を見て考えることができるように、インタビューを通じて、各自のアーカイブを14枚の大型パネルを引き出し式に展示して見せることで、場のデザインを行ったものであり、高く評価できる。

名古屋工業大学

くらしを分つムラ
奥村健一朗(建築・デザイン学科)
推薦者:伊藤孝紀
カバタのすゝめ
吉田夏稀(建築・デザイン学科)
推薦者:伊藤孝紀

名古屋市立大学

ハイブリッド手術室対応型の電気メスのデザイン要件の研究
鈴木美帆(名古屋市立大学産業イノベーションデザイン学科)
推薦者:國本桂史
外科手術で用いる電気メスの機能とその運用方法とを新たに設計、試作、検証し、実用化に向けたデザイン要件の抽出を行い、ハイブリッド手術室対応型の使いやすい電気メスとその使用法を提案した。試作モデルのコンセプトはバイオリン弓把持法でのメス操作が可能な新しい電気メスであり、現場調査、プロトタイピング、医療従事者による使用感の検討、構造解析が適切に行われた。以上から、プロダクトデザイン研究として高く評価する。なお本研究の成果は、平成29年度日本デザイン学会第3支部研究発表会で発表された。
(文責:加藤大香士)
患者に対する病室内の音環境に関するデザイン要件の研究
谷上昂(名古屋市立大学産業イノベーションデザイン学科)
推薦者:國本桂史
入院患者の安静を阻害する騒音を調査し、最適な病室環境づくりのための病室空間の調査に基づき、病室内の音環境を改善するデザイン提案を行った。吸音・遮音が可能なタイルを並べて敷き詰めることにより、手軽に貼付場所や面積を調節できる開発コンセプトにした。タイルの材質検討、表面加工の吸音・遮音特性の周波数解析、騒音計測等が適宜おこなわれ、最終デザインが導出された。以上から、プロダクトデザイン研究として高く評価する。なお本研究の成果は、平成29年度日本デザイン学会第3支部研究発表会で発表された。
(文責:加藤大香士)

以上